背中の深層筋(多裂筋、回旋筋、半棘筋)への鍼治療
深背筋群(固有背筋)とは?
最も深い深背筋群第2層は、背筋群の中で最も深いところにあり、僧帽筋や広背筋などの浅背筋からおよそ2〜4層目にあたります。
首から腰の方まで、数種類の筋肉があり、脊髄神経後枝に支配され、
- 板状筋
- 脊柱起立筋
- 横突棘筋(半棘筋、回旋筋、多裂筋)
- 棘間筋
- 横突間筋
- 後頭下筋
があります。
浅背筋が、腕や肩甲骨なそ腕の動きを担うのに対し、深層背筋第2層は、背骨を反らしたり、曲げたり、ひねったりと体幹を大きく動かしたり、立ったり座っている時の姿勢の保持や体幹動作の補助をしている縁の下の力持ちです。
ちなみに深背筋第1層は、上後鋸筋、下後鋸筋で、肋間神経に支配され、呼吸の吸ったり吐いたりを補助しています。
深背筋第2層
- 支配神経:脊髄神経後枝
- 支配脊髄:C1〜S3
深層背筋群の役割
第1層:
- 上後鋸筋:肋骨の引き上げ(息を吸う時に補助する。)
- 下後鋸筋:肋骨を引き下げる(息を吐くときに補助する。)
第2層
- 板状筋 :頭の反らす。頭を左右に傾ける。
- 脊柱起立筋群(棘筋、最長筋、腸肋筋):背骨を反らす。背骨を左右に傾ける。
- 横突棘筋 :背骨を伸ばす、左右に傾ける、左右にねじる。背骨の動き、固定補助
深層背筋群の障害
首の筋肉が硬く緊張すると、
首肩こり、頭痛、めまい、難聴、耳鳴り、眼の奥の痛み、不眠症、五十肩など。
肩甲間部の筋肉が硬く緊張すると
首肩こり、息が詰まる・しづらい、不整脈、高血圧、頻脈、不眠症、背中の痛み、猫背など
肩甲下部の筋肉が硬く緊張すると
背中の痛み、寝返りがしづらい・痛い、お腹の不快感(詰まる感じ)など。
腰仙部の筋肉が硬く緊張すると
腰痛、ぎっくり腰、頻尿、寝返りがしづらい・痛いなど。
深層背筋群の治療
背骨の真ん中の突起の横およそ1.5cm以内で、背骨に当たるまで鍼をしていきます。
背中でも特に肺のある肋骨部は、背骨より外に鍼を刺すと、肺に穴が開いて気胸という外傷が起こる可能性が高まり大変危険ですので、背骨に当てて肺にあたっていないことを確かめています。
どうしても外側の方の腸肋筋や最長筋に針をする時は、鍼を斜めや横にして肺に当たらない角度で鍼をしていきます。
主に、頭痛、背中の痛み、腰痛など痛みに対する治療を良くしますが、難聴・耳なり・めまい、不整脈(初期)、お腹の停滞感、頻尿、便秘など、体性-内臓反射を利用した内蔵や血管系の自律神経の不具合も改善できます。